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アベノミクスは金融緩和に偏重しすぎなのか?

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いつも応援ありがとうございますm(_ _)m


日刊SPA!にて記事を連載中です。
よろしくお願いします。


産経新聞の田村さんの記事

金融緩和偏重に限界 消費税増税後遺症の解消を 編集委員・田村秀男
http://www.sankei.com/premium/news/150524/prm1505240033-n1.html


記事からグラフを拝借します。


内容を要約すると

アメリカは量的緩和の効果によって、GDPが大きく成長し、個人消費も伸び、株価も上昇している。
一方で、日本ではアメリカのような劇的な効果が見られない。
これは明らかに昨年実施した消費税増税の悪影響により、日本の景気回復が遅れている。

金融緩和に偏重したアベノミクスではもはや限界、第二の矢である財政支出拡大が必要である。


ということだと思います。
言いたいことは分かりますし、概ね同意します。

ただ、一応最初に断っておきますが、私は財政出動を支持していますからね。

財政支出拡大の効果を評価しているからこそ、昨年も一昨年も反増税キャンペーン張って増税反対を訴えていたんです。財政が景気に効かないと考えているのなら、増税に反対する必要なんてありませんから。

量的緩和を支持している = 財政を否定している と決めつけている人が一部いますが、それは誤りです。


さて、話を元に戻しますが、アメリカと日本でここまで景気の回復に差が出たのは、田村氏の指摘の通り「消費税増税」の影響です。
ただ、田村氏の記事を読むと、日本が全く第二の矢である財政支出を拡大していないかのように解釈できてしまうのですが、日本は財政支出拡大をしていないわけではありません。

グラフ&エクセルダウンロード

このグラフは公共事業(公的固定資本形成)と政府最終消費支出の四半期ごとの推移(季節調整値)です。要するに政府と地方自治体を合わせた、一般政府の支出の内、GDPに換算されたモノの合計値となります。

グラフを見ると安倍政権成立後から、政府支出が急激に上昇していることが分かります。2014年には97年頃の最高値を突破してしまってます。これは財政拡大とは言わないのでしょうか?

安倍政権が財政拡大を行っていないと、主張する人の根拠は一般会計予算での予算増加額がショボイとか、補正予算額が去年より少ないからといったような、「予算額」をベースに財政を語っているのですが、上記のグラフは予算ではなくて、実際に執行された金額を表したものです。

予算を組んだとしても、その予算が即座に全額消化されるわけではありません。

例えば公共事業にしても、請け負っている業者において、手持ち工事(受注はしているがまだ実施していない工事)が増えています。これらの手持ち工事は、別に政府が予算を大きく増加させなくても、順番に消化されていきますので、執行額ベースでの公共事業は増えていきます。
また、数年にまたがって実施される規模の大きな公共事業だってありますので、予算=その年の執行額 ではありません。

それに、まだ全然使いきれていない復興予算」が特会に山積みになっています。新たに予算を積み増すより、まずはこの予算を有効的に使うことを優先しなければならないでしょう。また、公的機関は中央政府だけではありません。地方自治体もあります。

地方自治体の今年度の予算は過去最高額です。

GDPや景気に影響を与えるのは、当然予算の執行額。その執行額は一般会計の予算や補正予算だけをみても分かりません。

まあ、私も今の政府支出の拡大に満足しているわけではないのですが、予算を拡大するには様々な政治的なハードルを超えなければなりません。

まず法律ルール上、予算拡大分の代替財源を確保しなければならず、財務省から「予算拡大したいなら消費税増税に賛成しろよ」と迫られるのがオチです。歳出権を財務省に握られてしまっているため、しかたないのですが、この状態で無理やり財政支出を急拡大しようものなら、党内の議員のほとんどが財務省に取り込まれ「増税派議員」となってしまいます・・・ 例えば西田議員とか、西田議員とか。
(すでに自民党内に増税派の議員がゴロゴロいます)

今の政府の財政政策に不満を持っている方がいるのは確かなのですが、支出拡大のハードル、政治的なパワーバランスを考えると、今の水準はかなり頑張っている方だと思われます。なんせ過去最高額ですから。

2015年は昨年よりGDPが成長すると予想されていますので、これで税収が増えれば「代替予算」の声も小さくなり、予算をもっと上積みすることも可能になるでしょう。だから財務省、増税派の方々はアベノミクスを批判しているのです。

景気回復による自然増収では、財務省は予算の配分による権力拡大ができなくなりますので。

話があちこち横道に逸れてしまいましたが、私が言いたいのは、

田村氏はアベノミクスは金融政策に偏重しすぎいる。だから財政を拡大すれば消費税増税の悪影響を吹き飛ばすことができるのではないか?
と言いたいのだと思いますが、アベノミクスにて財政支出拡大は行われています。

つまり・・・

財政金融政策をぶち込んだとしても、消費税増税の悪影響を打ち消すことはできなかった。
これが真実。
それだけ消費税増税の負の影響は大きい。10%への増税なんてとんでもない!

と言いたいわけです。

消費税増税をしても財政拡大で倍返しだ!なんて言ってしまうと、増税派を増やし、財務省の付け入る隙を作ってしまうことになりかねません。それは避けるべきかと思います。

アベノミクスで財政拡大は実施されている。つまり、財政+金融をフル回転させても増税のマイナスダメージを打ち消すに至っていない。これが現実。消費税増税をしても財政拡大で倍返しだ!なんて言っている場合じゃない。10%への増税なんてとんでもない! と思われた方はクリックをお願い致しますm(__)m
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