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先日、関税を負担しているのは消費者であり、高い関税率は国益を損ねていることを説明しましたが、関税の弊害はこれだけではありません。
今現在日本はTPPだけではなく、欧州やアジア各国とEPAなどの通商交渉を続けていますが、その交渉でネックになっているのが、日本の農作物に掛けられた高い関税率です。
日本は「聖域」と称して、ある特定の農産物を高い関税率で保護しているわけなのですが、
品目 関税率
コメ 778%
小麦 252%
脱脂粉乳 218%
バター 360%
砂糖 328%
牛肉 38.5%
要するに日本がこれらの農作物にかかっている関税をなくそうとしないため、交渉相手国も工業製品に掛けられている関税を無くそうとしなくなります。
工業製品。例えば自動車とかですね。
自動車の関税率
アメリカ 2.5%
インド 125%
タイ 80%
インドネシア 40%
ブラジル 35%
メキシコ 20%
フィリピン 30%
中国 25%
ベトナム 67%
日本 0%
EU加盟国 10%
※WTO協定税率(排気量1800ccの乗用車)
経済産業省資料
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/04/shiryo08.pdf
要するに、日本は農業の高関税率を維持するために
外国の工業製品にかかる高関税率をこじ開けられない
そして、日本の工業製品にかかる関税は譲歩せざるを得なくなっている
ということになります。これがどれだけ国益を損ねているのか・・・、どれだけの雇用を殺しているのかという話です。
農作物への高い関税率の維持は、他の産業に多大な負担(ハンデ)を強いている。別に農業が悪いと言いたいわけではないが、日本の農業はまだまだ改善の余地がある。関税の撤廃は日本の国益だ。 と思われた方はクリックをお願い致しますm(__)m
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自動車の関税は意外に高いです。
ちなみに日本に車を輸入する時にかかる関税は0%の様ですねぇ・・・
つまり日本の自動車メーカーは国内市場を完全に海外に開放している状態で、海外に輸出する場合は高い関税を掛けられるという重いハンデを背負った上で、海外の競合自動車メーカーと戦っているのが実情です。
ちなみにTPPで問題となっている農産物の生産額は4兆円程
対して、自動車関連産業の経済規模は以下のとおり
自動車関連就業人口 : 548万人
製造品出荷額: 47兆2962億円
商品別輸出額: 12兆7521億円
研究開発費 : 2兆1796億円
設備投資額 : 7549億円
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/tenken/04/shiryo08.pdf
つまり、農作物4兆円を守るために、自動車産業47兆円が犠牲になっているわけなんですよね。
ちなみに日本で製造している工業製品は当然自動車だけではありませんので、その他の産業を考慮すると、農作物4兆円のために、どれだけの日本の産業が負担を強いられているのかという話になります。
参考までにですが、2013年時点の非農産品の関税率は、日本の平均2.5%に対し、米国が3.3%、シンガポールは6.6%、オーストラリア11%、マレーシア15%、ベトナム10%など、軒並み日本よりも高いです。
要するに、日本は農業の高関税率を維持するために
外国の工業製品にかかる高関税率をこじ開けられない
そして、日本の工業製品にかかる関税は譲歩せざるを得なくなっている
ということになります。これがどれだけ国益を損ねているのか・・・、どれだけの雇用を殺しているのかという話です。
私は別に、農家の方を責めたいというわけではありませんし、日本の農業を潰しても構わないと言いたいわけではありません。
ただ単に、関税という制度そのものに欠陥があり、4兆円の産業を守るために払っている犠牲としてはあまりにバランスを欠いているのではないかということを言いたいのです。
グラフ&エクセルダウンロード
そうでなくても、日本の農業って規制でがんじがらめなんですよね・・・
例えば
価格下落を防ぐ目的で減反政策を行っているコメは収穫向上のための品種改良は禁止されているため、収穫効率はカリフォルニア米よりも4割少ないらしい。また、15haの農地を持つコメ農家は0.5haの農地を持つコメ農家に比べてコストを半分に引き下げられるとのこと。
→減反をやめて、企業による農業参加の規制を緩和すればまだまだ効率化の余地は十分にある。コメに限らず他の農作物も一緒。
農協はコメで6割、農業用資材で5割以上のシェアを持っているみたいですが独占禁止法の対象外。で、農協が提供する農業資材の値段は、アメリカの2倍。
→農作物の集荷流通に民間が新規参入できるようにすればもっと効率化、低コスト化が図れ、輸入農作物とも十分に戦えるんじゃないの?
生乳は一旦農協で集められて、他牧場で生産された牛乳とまぜこぜにされて乳業会社に卸される。だから、いかにおいしい牛乳を作っても価格は同じ、生産者に何のメリットもない。インセンティブも働かない。
独自ルートで牛乳を流通させることはできないことは無いが、全量委託が原則。全量を農協か、全量を独自ルートにするかのどちらかしか選べず、融通が効かない。この全量委託の原則は低品質の生乳しか生産できない酪農家を保護する目的らしい。酪農家が減ると農協の支配力や利権が弱まるからだと思われる。
やる気のある農家、消費者の利益は完全無視。
→これも規制緩和すれば、酪農家も品質、生産性を高める方向にインセンティブが働く。
品質が向上すればバター、チーズなどの加工乳製品の輸出競争力が高まるんじゃないですか?
品質が向上すればバター、チーズなどの加工乳製品の輸出競争力が高まるんじゃないですか?
他にも細かい変な制度が目白押しなのですが、とりあえずはここまで(^_^;)
というか、農協の権限って大きすぎない?
要は企業が新規参入できるよう規制緩和して、日本の農業をどんどん大規模化していけば十分に対応可能なのかなと思う。
最近徐々にではありますが、企業による農業参入は増加しているようです。
企業の農業参入増、金融も転機
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO83827510R00C15A3NN7000/
『 金融機関の農業向けの融資残高は約4兆円。JAバンク・農林中金など農業系金融機関に加え、日本政策金融公庫などの政府系金融機関の存在感が高い。企業の農業参入をテコに担い手の大規模化が進めば、民間銀行による農業金融の余地が一気に広がりそうだ。 日本政策金融公庫による営農者への直接融資は1兆円規模で国内の農業融資の25%を占めている。代表的な「農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)」は、条件付きで当初5年間は実質無利息で融資する商品。零細農家を対象にした公的補助の色彩が強く、民間銀行には太刀打ちできない。
民間金融機関にとってはリスク管理も課題。農業は収益が天候などに左右されやすくいわば未知の領域。農地は転売が難しく、担保を確保しにくいという事情もある。
焦点は農業分野への企業参入の動きだ。産業界ではイオンなどの流通大手や製造業まで1000社以上が農業の事業化に取り組む。大規模化が進み企業の農業参入が本格化すれば、零細農家を支援する従来型の公的金融の出番は少なくなる。農業改革の進展とともに民間金融機関の存在感が高まる展開になりそうだ。』
今現在、量的緩和による投資コストの低下、金融機関の貸出態度の好転、政府による規制緩和によって、企業の農業参加が増えている模様です。これをもっと加速させれば、日本の農業は強くなれると思います。
淘汰された農家はどうなってもいいのか?という批判もあるかもしれませんが、日本に163万いる農家の内、専業は45.1万、農業が主な収入となっている第一種兼業農家は22.4万しかありません。約6割の95.5万が農業以外を主な収入としている第2種兼業農家です。
ちなみに農家の方で年間300万円以上農作物を販売している方は、全体の20%ほどしかありません。これ、収入じゃないですよ?売上額です。必要経費を引いた収入で見ると、ほとんどの農家が所得ゼロなのではないでしょうか?
ほとんどの農家が兼業、そして無収入。私の実家もそうですw
企業が参入したところで被害は限定的なのでは?それに、企業が参入すれば当然従業員を雇いますので、雇用が減るという話でもないと思います。
それよりも、これまでに説明したように、関税を維持する事によって生じる消費者の損害、他産業への弊害による雇用の損失の方が深刻でしょう。
他国の関税をこじ開けることができれば、企業の国内回帰の加速も期待できます。
なんというか日本って政府が余計な保護をせず、厳しい競争にさらした産業が大きく発展していると思うんですよね。
自動車とか、素材関係ですね。
アメリカなんかも日本の自動車と真っ向から戦うのを避けて、ビッグスリーを政府が保護する政策を採ったために、根本的な問題(品質の改善)がなにも解決されず、かえって衰退に拍車がかかりました。
その結果がデトロイトの破綻というわけですね・・・
別に産業はシバけば伸びる!と言いたいわけじゃないですが、日本の農政はまだまだ改善の余地はあるでしょう。
某評論家のコトバを借りますが、日本の農業はもうだめだ~みたいな、経済的自虐主義に囚われてはダメですね。
農作物への高い関税率の維持は、他の産業に多大な負担(ハンデ)を強いている。別に農業が悪いと言いたいわけではないが、日本の農業はまだまだ改善の余地がある。関税の撤廃は日本の国益だ。 と思われた方はクリックをお願い致しますm(__)m
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