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財政の健全化にプライマリーバランスの黒字化は必要ない

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日刊SPA!にて記事を連載中です。
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以前投稿したエントリー「増税で財政健全化は妄想」の続き、小黒氏の「財政健全化には増税しかないんだ」の記事への再ツッコミですが、


小黒氏の記事はこちら↓

景気の上昇が税収増をもたらした――は幻想
景気に頼らず財政再建する道を探れ


要約

・税収増7.2兆円のうち、4.5兆円は消費増税に伴う増収であり、景気循環の影響に伴う増収は2.8兆円に過ぎない
・消費税を増税すると減収するという主張も間違いであることが判明した
・消費税以外の税収はもう構造的に伸びないから、消費税を増税してPBを黒字化するしかない
・増税に頼らない財政健全化は、景気が下振れした時の減収リスクが伴う


経済成長すれば増税しなくても税収は増やせる事は前回のエントリーで説明済みですが、それでもまだまだ世の中には財政を健全化するにはプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化しなければならない、税収が歳出を上回って借金を減らさなければならないという理念というか、執念というか、怨念に取り憑かれてしまっている方が少なくありません。小黒氏もその一人。

何が何でも増税だの一点張りです。

ですが、財政の健全化にプライマリーバランスの黒字化とか、政府の借金を減らす必要はどこにもありません。

次のグラフはG7各国の政府債務対GDP比の推移です。


日本がずば抜けて上昇しており、他国はそれほど増えていません。ということは、他の国の政府は日本に比べてさぞかし借金を増やしていないのだろうと、思われがちですが・・・


実は日本はあまり借金を増やしていないんですよね。
他の国の方がガンガン借金を増やし続けています。でも政府債務対GDP比が日本ほど増えていないのはなぜなのか?


答えは簡単。他国は経済成長しているからです。


政府債務対GDP比は次の式で計算されますが、

                政府債務残高
政府債務対GDP比 = ――――――――
                  GDP

要は日本以外の国は、分子の政府債務残高をどんどん拡大しているんですが、分子のGDPが増大しているため、政府債務対GDPが縮小している、または拡大していないということになります。

財政の健全化って政府債務対GDP比を減らすことだと思います。別に財政収支を黒字化して分子である債務残高を減らさなくても、GDP拡大により政府債務対GDP比縮小が実現できるのであればそちらの道を選択しても別に問題ないんじゃないでしょうか?

成功例は数え切れないほどありますよ。というか、日本以外のほぼすべての国「経済成長によって政府債務対GDP比を圧縮」しています。それなのに、なぜ、増税によるプライマリーバランス黒字化しか財政健全化の道は無いと断言できてしまうのか・・・

ちゃんと世の中全体を見ましょうよ!


また、デフレ脱却によるインフレ化も財政健全化に貢献しますね。インフレになれば貨幣の価値が下がりますので、その分負債の価値(負担)も軽減します。

今現在日銀は年2%のインフレ目標を掲げていますが、年2%のインフレなら、1年間で2%の借金が減ることと同義なんですよね。政府債務が1000兆円なら、年20兆円もの財政改善が見込めるわけです。

また、デフレ脱却、景気が良くなってインフレになれば名目成長が期待できるわけですので、税収も増えて景気対策のため国債を発行する必要もなくなります。したがって、景気が回復すれば分子の政府債務もそれほど増えないので、政府債務対GDP比の圧縮スピードも加速します。

ところが消費税の増税をやってしまうと、昨年のGDPの推移を見ても分かるように、大きく景気が減衰してしまいます。こうなると税収も減り分子の政府債務がそれほど減らないどころか、景気対策のために国債を増発しなければならなくなるので政府の借金は返って増大します。

さらにGDPが減少もしくは増えないので、政府債務対GDPの圧縮効果も期待できない。
さらにさらに、景気の悪化により消費者物価指数が低下してデフレが深刻化してしまうと、インフレの時とは逆に負債の価値(負担)が増大してしまいます。黙っていても借金の負担が実質的に増えていく。これって最悪でしょう。

小黒氏は「財政健全化のためには増税しか道はない」とか言っていますが、その道を進んだ先に「財政健全化」があるとはとても思えないんですけどね。むしろ、

財政悪化 → さらなる増税 → 財政悪化 → さらなる増税  の無限ループに突入しそうです。

また、2014年は増税で税収が増えたじゃないかとか意気込んでますが、それ完全にアベノミクスのお陰ですから。もし、アベノミクスが無かったら今頃、目も当てられない様な悲惨な状況になっていたことは想像に難くありません。

小黒氏はアベノミクスに感謝するべきですよ。ほんとに。


いまだに金融政策は景気に効かないとか言っている人をチラホラと見るのですが、昨年に8%への消費税増税という超緊縮政策をやったのにもかかわらず、この程度で済んでいる。これって金融政策が効いたからだと評価するべきなのではないでしょうか?

私は財政政策の効果を評価しているからこそ、金融政策の効果を認めてます。

もし、仮に金融政策が効かないと言うのであれば、増税は景気を悪化させないと主張している小黒氏を始めとしたデフレ派、増税派を意見を同じくすることになってしまうのですが、それでもいいのでしょうかね・・・

昨年度の税収増加は明らかにアベノミクスの効果によるもの、財政健全化は経済成長により達成するべき。無理やり財政を黒字化させる必要なし。 と思われた方はクリックをお願い致しますm(__)m
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